ハルビン工業大学

中国大学生の学力と日本での就職先、現地での就職先について

中国の大学生の就職難

日本では、大学を卒業しても就職できない学生が増えていますが、中国の大学生も例外ではありません。

日本で話題になっているニートは中国にも存在し、「こう老族」とか「蟻族」などと呼ばれています。こう老族というのは、年老いた親に経済的に依存する子供を指します。

また、蟻族とは、大学を卒業しても良い仕事に就けない若年層を言います。また、「鼠族」という貧困層があり、地下で暮らしていることからこう呼ばれています。

鼠族は地上のアパートが高くて借りられないことから、地下の狭いスペースで共同生活を送っています。

なぜ、このような格差社会が存在するかについては、中国の「環境格差」と「学歴格差」が関係しています。

中国の環境格差

中国には、「都市戸籍」と「農村戸籍」という戸籍制度があり、農村戸籍を持つ者は都市へ引っ越しできません。

農村戸籍だからと言って農業をしているとは限りませんが、農村戸籍は進学、就職、結婚へとつきまといます。中国は階級社会となっています。

都市部の大学に進学すると「団体戸籍」という都市戸籍に近いものが与えられますが、一時的なものです。卒業すればまた、農村戸籍へと戻されるとのことです。

中国人がこの生活を抜け出すには、有名大学に入るか、公務員になるか、軍隊に入るしかありません。

しかし、いずれの道も少数のエリートにしか開かれておらず、「都市戸籍」と「農村戸籍」の環境格差はどこまでもついて回ります。

中国の学歴格差

中国の学歴格差は幼稚園からはじまっており、良い大学(「重点大学」と言います)に入るためには、重点小学校、重点中学校に入る必要があることから、「重点小学校に入学できなければ落ちこぼれる……」とまで言われています。

重点大学に入学できるのは一握りのエリートですが、重点大学に入ることができれば、大企業に勤めることができて、将来が保証されます。

中国の大学進学率は高くなっていますが、普通の大学に入っても「蟻族」のように職に就けない若者も増えてきています。

このような「努力しても報われない」中国社会に見切りをつけ、海外留学を考える学生も少なくないようです。

中国の公務員試験

中国の公務員試験には、古くは「科挙(かきょ)」があります。

科挙は隋の時代にはじまり、唐代から宋代へと続いてきた公務員採用試験制度です。

科挙の制度は20世紀に入って、清帝国の末期になったところで廃止されました。

現在の公務員試験は人気が高く、2万人程度の採用枠に100万人以上が応募してきます。約50倍の高倍率です。

ただし、この倍率は部署によっても異なります。採用枠1人の部署に何千人と応募してくることなども珍しくありません。

公務員試験に受かれば、医療手当てや食事代の補助、特別手当や奨励金なども出るとのことです。

公務員の給料はけして高くはありませんが、安定性があることから大学生以外に、転職希望の社会人も応募してきます。

日本に留学する中国人大学生

中国の都市部と農村部における環境格差と、高倍率の公務員試験の現状を考えれば、都市戸籍があり大企業に就職できる人以外は、他国に留学して就職した方がいいかもしれません。

ただ、日本も中国より自由とはいえ中国同様、新卒の就職状況は厳しいから、どんなに優秀な学生だったとしても就職は簡単なものではありません。

日本語などの問題ですが、中国にも日本人学校の多い地域があり、日本語を話せる学生がいます。そのような学生であれば、日本に溶け込むのは早いでしょう。

しかし、日本に留学する中国人大学生に余裕があるとは言いがたく、アルバイトなどをしながら生計を立てている様子です。

日本に留学できる中国人大学生はまだマシな方で、中国には地上に住めず、地下の狭いスペースで暮らしている「鼠族」のような貧困層もいます。

そのような貧困層は都市部に出稼ぎに出て、社会保障のないアルバイトをするような暮らしをしています。